2024年7月上旬に五島列島の福江島へ3泊4日の旅へ行ってきました。
福江島はでかいマイマイカブリや青いカナブンがいるくらいの認識で特別行きたいとは思っていませんでしたが、弟子が行くとのことでしたのであわよくばミヤマが採れたらいいなぁ程度に思いながら同行することにしました。
夏休みの混雑と割り増し料金を避ける為にクワカブのシーズンとしては早めの時期での旅となりましたが、行くだけでもそれなりに旅費が掛かりました。
二度と行くことがないだろうから島を満喫しようと思っていたけれども、どうにかなるだろうと下調べも十分にせず当日を迎えてしまいました。
1日目

羽田→長崎→福江の順でまずは弟子と共に空港へ向かう。
離島旅のいつものノリで朝は空いているだろうと思っていたのだが日曜日は訳が違うらしく6時で既に羽田は混雑していてやらかしてしまう。
次回からはより早く行くか更に早い便にした方が良いと学んだ。
長崎空港で角煮饅頭を食べたり空港周辺を眺めたりして適当に福江への便を待ち、天候調査で安全が確認できてから福江発の飛行機に乗った。
事前に天気予報を見て半信半疑ではあったが到着してから福江島は常に爆風が吹いていると身をもって実感した。昼は6m夜になっても3mは下回らない恐ろしい島だった。
ライト機材を持って行ったけれどもこれでは飛んでこられない。せっかくなのでやるだけやることにした。


レンタカーは大手を予約し空港から送迎してもらい受付するも連絡先の説明を受けただけで手続きが終わってしまった。無敵オプションも付けている大荷物の野郎二人だから慣れている客と思われたのだろう。
レンタカーに乗ってまずはスーパーで当日分の食料を調達する。売っていたものは焼酎が多かった以外に本土とそう変わらない印象だった。スーパーの入り口で売っていた、たこ焼きが安くて美味しかった。
スーパーの弁当で昼食を取ってから果実トラップを仕掛けに行く。臭うものを先に片付けないとやらかした場合はノンオペで追加料金を取られてしまう。
今回はカナブン用に吊るすタイプとクワカブ用に木に直付けするタイプを用意した。ライトトラップで採れるだろうと信じて多く用意していなかったのが後々仇となった。
今は昔に先輩のG氏&chin氏が行った際にG氏がイシガメを捕まえていたことからカニカゴも仕掛けてみた。イシガメは西側が起源らしくネイティブのイシガメというものを見たことがなかったのでその姿を拝んでみたかった。
トラップをあらかた仕掛け終わってからホテルへチェックインして荷物を置く、そしてライトトラップをすべく出発する。
福江島は過去に行った対馬や沖縄本島と比べて小さい島なので移動距離が短く、数十分で目的地に到着できるのは驚異的であった。島民も速度の取り締まりが無いのか結構飛ばし気味であった。
ポイントに到着すると昼と変わらずの爆風で新月近いのにライトを点灯しても何も来ず、蛾が来たと思ったら風で遠くへ流されていくのが見えた。
満天の星空で天の川が綺麗だった。

ライトは早々に諦めて吊るしておいたトラップを見て回ることにした。
早速青っぽいカナブンが付いていたので例のあれかと急いで網で回収すると確かに青い、フクエアオカナブンでした。
ナミカナブンの青個体よりも青が濃くかつアオカナブンの薄くスタイリッシュな身体で気品さを感じた。色合いはファンムラサキといい勝負だ。
落ち着きが無く常にトラップに留まっているとは限らないため、体力が残っていれば朝昼晩でねちっこくトラップを確認しに行くことに決めた。
カナブンは昼行性と思っていたが夜間でも活動しているようだ。



トラップを見た後はアカハライモリを探すとにした。この島のイモリは何かが違うらしいので興味があったのだ。
田園地帯が多いので適当に用水路を探す。最初に探した場所はコガタノゲンゴロウ?がいたがイモリが居そうな水場が見つからなかったので移動した。
次の場所は生態系が貧相でジャンボタニシばかり。噂のジャンボタニシ農法でもしているのか稲が食われないように水は少なめに張ってあるか枯らしてあるところが多かった。
辺りを徘徊しているとコンクリート固めの用水路の側溝で素早く走るマイマイカブリがいた。とっさに捕まえるが小さい、ヒメマイマイと変わらない大きさだった。腕に毒液を掛けられ焼けるような様な痛みを感じながらも弟子のところへ持っていきプレゼントした。
どうやら体長に雌雄差があるらしくこれはオスとのこと。メスが噂に聞くサイズになるらしい。
諦め悪く探し回ったけれどもイモリは見つけられず、とうとう2時になったのでホテルへ帰る。相変わらずの爆風であった。
1日目はこれで終了。
2日目
朝だけは風は弱くカラッとしている、まずトラップを確認しに行く。吊るしていたものは鳥にやられたのかいくつか落とされていたものがあったので強化して吊るしなおした。
前日に採れたトラップの近くに設置した木に直付けしたところから青いのを追加でゲットできた。青いのは局所的にいるようだ。
しかしながら昨日から感じていたがクワカブの気配が無い。なんとしたこと。


カニカゴも確認することに。
池に仕掛けたのは餌が取り出されてもぬけの殻だった。川に仕掛けたのにはドンコとサワガニが入っていた。何気に野生のドンコは初見だったので嬉しかった。持って帰るか悩んだが飼えなさそうだったのでリリースした。
サワガニはいつもの赤で本土となんら変わらないようだ、こちらもリリース。
これらの場所ではイシガメはいなさそうなので場所を変えることにした。

カニカゴは荷物のサイズ制限の関係上ミニサイズ、そのせいかいくつかのポイントで仕掛けるものの器用に餌を取られてばかりだったので回収することにした。次回の課題ということで。
イシガメが居そうな場所を探していると橋からスッポンがたくさん見える川を発見した。日光浴している個体はかなり目が良いのか30メートル以上離れていても気づかれてすぐに水に飛び込んで逃げてしまった。日々ひどい目に遭っているのだろう対空にかなりの神経を張っている様子だった。

スッポン橋のすぐ先を行くと道脇にイシガメの骸を発見した。地元にはイシガメが沢山と言う弟子からは「夢が叶ってよかったな」と呆れ気味に温かい言葉を頂いた。そうじゃあないだろう。しかし確かにこの島にイシガメがいることは分かった。

イシガメ探しの最中にイモリが居そうな水路を見つけたので夜に捜索することとして、午後からはクワガタ探しを始めた。
杉ばかり生えていて噂に聞くクヌギすら見つけられないへっぽこ具合で行く当てもなく時間を持て余したので飛行機待ちの時に見つけておいた山を越えた先にあるポイントへ行ってみることにした。
意外と早く到着したけれども何もいなさそうに感じた。
用水路を挟んだ対岸にアカメガシワの木が数本生えており、弟子がゾウムシが付いていると言っていたので二人でなんとなく眺めていると、弟子がそのすぐ上の枝のブッ壊れから覗かせる黒い尻を発見した。あの大きさはヒラタに違いない。人生初のゴトウヒラタなので落水しないよう二人で網を二重に重ねて捕まえた。40mm程度の小さなオスだったがやっとご当地のクワガタ見れたので嬉しかった。
他にいるかもしれないのでよく探してみると他のブッ壊れからも黒いのがいるのを発見した。メスを期待したが先ほどよりも大きめのオスだった。50mm超えたくらいだったがゴトウの特徴を確認することができた。身体が太めのツシマヒラタといった感じであった。
この木には期待できそうだったので成果が悪かった箇所のトラップを集めて設置することにした。

まだ夜にならないので弟子が知恵袋で見つけたクワガタが採れる公園とやらに行ってみた。地図で確認しても絶対にいないのは分かり切っているがせっかくなので向かってみた。よく整備された公園で樹液が出ている木も発生木もない。あれはガセだとこの目で確認できたのが成果だった。
弟子は他にも知恵袋で挙がっていた公園に行きたがっていたが、ガセでしかないのでまともなポイントを探してもらいそこへ向かった。
到着する頃には日が落ち始めて霧が濃く誰もいない不思議な場所であった。ブナ科植物が色々植えてあるとのことで、そこでノコギリとレクタスを見つけることができた。新しめのメクレが壊されていた木もあってまともじゃない採集者が来ていること分かった。ここも夜にまた来ることにした。
夜になるとまずはトラップの確認に回る。この時も追加で青いのをゲットした。
海沿いに虫が集まっている外灯があったので確認するとドウガネブイブイやシロスジコガネで目ぼしいものは見られなかった。
カニカゴの回収の際にキリギリスのメスを発見した。ニシキリギリスらしい。いつも会津で見ているヒガシキリギリスとは若干細いような。
外灯にいたキリギリスのオスを捕まえて直翅目に精通しているp氏にプレゼントしたところ、「あのヤブキリは何だ」と言われてしまった。別種だったとは気づかなかったので申し訳なかった。本当です。

次にイモリ探し。昼に見つけておいたポイントへ移動する。
ジャンボタニシに汚染されていない良好な環境だった。
そしてスッポンが沢山いた。福江島に住めば金を払わずに毎日スッポンが食べられそうだ。

辺りを探し回りスッポンが侵入していない流れの緩やかな水場を見つけると、そこには水中を浮揚するイモリがいた。
網を車に置いたままだったので素手で捕獲する。水中のイモリは素早く一度逃げられつつもしばらく待って浮かび上がってきたタイミングを狙って執念で捕獲した。
車に戻りまじまじと観察するとやはり福江島のイモリはいつものとは違かった。
弟子と他にいないか捜索していると同じ水路で先ほどは見えなかったはずなのに数匹イモリが浮かんでいた。
どこにでもいるわけではなく好みの場所で局所的にまとまって生息している様子だった。


イモリを採集後、クワガタが物足りなかったので夕方に行ったポイントへ向かった。
目の前しか見えない程の濃霧になっていた。同じ場所を探索すると同じくノコギリとレクタスがいた。
ヒラタが居なかったので辺り一帯を探索していくと弟子が木の根元にいた何かを捕まえたので見に行くとマイマイカブリだった。前日に捕まえたものよりも大き目だがまだまだなサイズだった。
樹液ドバドハ出ている木も複数あったが来客が見られなかったので、今年は発生が遅くクワガタはあと1~2週間後が本番なのだろうと思った。
2日目はいくつか収穫があったので0時ピッタリにホテルに帰ることができた。
其の弐へ